平太郎コラム


音楽でエージング

プリステージスピーカ(16.8万円)にエージングをかけて発売した(197475年)。 エージングとは、作ったばかりのスピーカの各部品に楽音を数十時間鳴らし続けて馴染ませ、良い音が出るように仕上げること――これは経験から来た知恵でもある。

エージングに使う音源は「楽音」に限る。スピーカ部品を微振動させてなじませるのだから何も楽音に限ったことでもなかろう。ふるわすだけだから雑音でも騒音でもよかろうと思うのだが、何故かそれではだめ。良くなるどころか、劣化の恐れすらある。

音楽でエージングすれば音が良くなる。これは音好きの人達の間でも認める。現に使い込めば音の出方が良くなるのは経験するところ。しかし、何故?どうして?という疑問には残念ながら科学的に証明することも、どうすればどの程度良くなるかの定量的なものさしも見当たらなかった。

自然界にあるすべてのもの―地球、ひとや動植物すべて、日々ゆれ動き、その動きこそがものの活力であり、それに適応して行くことが生物の進化につながっていると言われている。その「ゆらぎ」や「ゆれ」を森羅万象の原点として注目し、10年来オーディオに的を絞ってその活用方法を考えてきた。大変難しい問題ではあるが、少しかじってみると、今までオーディオで分からなかった部分、特にヒトにかかわった部分の解明に役立つのではないかと思うようになった。まだまだ入り口に辿りついたくらいの感じだが、とりあえずの題材としてスピーカのエージングなど恰好のテーマかと思っている。