平太郎コラム


永田穂氏米寿のお祝いでの私のスピーチ

永田穂さんは㈱永田音響設計の会長。私とはNHK技術研究所で20年近く一緒に音響研究に従事し、1971年5月末日、同じ日付で中途退職した研究仲間。永田さんは退職後表記会社を設立、室内音響、遮音防振、電気音響設備などの建築音響研究の成果を音響ホールや市民会館に適用。

「静けさ、よい音、よい響き」

のスローガンを掲げて実践し、今日まで40年間、今やその道の業界や学会で世界に通用する成果を上げた私の尊敬する研究仲間。

 

米寿は後期高齢者の単なる「折り返し点」。功なり名遂げて隠居する年齢ではない。今までの成果を集大成するのは勿論のこと、同時に研究の折り返し点として

「うるささ、悪音、変な響き」

といったスローガンを追加して、良し悪しを善と悪の両面から、永田さんらしいユニークな見解をまとめ、後輩に研究テーマとして残してもらうことが必要。

 

年齢も研究も「折り返し点」。 まだ道半ばの思いで頑張ってもらいたい。老け込むのはその後ごゆっくりと。

 

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以上はお祝いの席でのスピーチ。恰好よく締めくくったが、私にはその延長線上にオーディオを集大成したい夢がある。2つのスローガンの結びつけをオーディオ追求の出発点としたい。音楽や音声の時間軸上の鋭いタッチと快適性に必要なひびきの豊かさ、この2つの一見相いれない要求を融合させて、オーディオの醍醐味を提供できるシステムを求めたい。