テーマ:「電源の違いを楽しむ ~ 太陽光パネル発電でもアンプ駆動」
内容
1. はじめに (中島代表)
2. アンプを駆動する電源の違いについて (茶谷取締役)
電源を変えた時の音の違いを試聴、考察。
3. 太陽光パネル発電でアンプを駆動する (須崎規泰氏)
日時:2017年4月10日(金) 14:00~16:00
セミナー概要
1. はじめに(要旨) 中島代表
1982年CDが発売されてオーディオのデジタル化が終り、次にビデオのデジタル化(DVDの商品化)に至るまで14年かかった。その時点で、16ビットでサンプリング周波数44.1KHzのCD技術は、DVDの技術を使えば大きな変化をすることができ、オーディオのハイグレード化が実現できると考えたが、業界はCDの成功で満足しそのあとのことを積極的に研究開発しなかったように見受けられた。
そこで、規模の大きい組織的研究ではないが、ソニーグループ内でオーディオ技術にこだわる有志と「よい音プロジェクト」を作り、CDプレーヤのサーボはどのようにかけるべきか、デジタルの何が悪いか、何が良いのか、どうしたらよいかなどを考えはじめた。例えばレーザのスポットは真円であるはずだが実際にはゆがんでいる。いろいろなレーザを調べていくうちに、レーザによって音が変わることが分かった。
また、ADC、DACの見直しの中で電源を変えることもやってみた。AC電源から自動車のバッテリーや乾電池に変えると確かに音が変わった。しかし、変わったということは分かるが、それ以上のことは残念ながら分からなかった。
今日のテーマを見ると「よい音プロジェクト」のことを思い出す。このセミナーで音がどう変わるかを体験し、なぜ変わるかをご提案していただければありがたい。
中島代表と茶谷取締役
2.アンプを駆動する電源の違いについて 茶谷取締役
「オーディオは何を変えても音が変わる」という前置きの言葉から始まり、太陽光パネル発電で数回試聴した時の印象や、NHラボセミナーでのデモの依頼に至ったいきさつを紹介した。
引き続き、各種電池の特性の概要、実際の電源に観測されるノイズの測定データなどの説明。
電池の説明には、山形大学廣瀬研究室の資料「太陽電池」(Internet版)、横河電機広報資料、資源エネルギー庁資料「蓄電池技術の現状と取り組みについて」ほかを参考とした。
以下はセミナー資料から抜粋したもの。
3.太陽光パネル直接駆動 須崎規泰氏
自己紹介
オーディオ歴は30年を超える。
小学生の時に〈ラジカセの電源をACアダプターから乾電池にすると音が良くなった〉、という原体験を持つ。小遣いはほとんど乾電池代に消えた。
その後ソニーのディスクマンD100を所有したが、このときもACアダプターと鉛電池で音が相当違うことを経験した。
社会人として働くようになると高級なセパレートステレオを手掛けた。高いものを買えば良いのだろうと思い、オーディオメーカのフラグシップモデルを使っていた。電池のことはしばらく忘れていた。
ある時、たまたまSDカードプレーヤを太陽光パネルで動かしてみたら音が良さそうだった。そこで、オーディオ機器を片っ端から太陽光パネルで動かすことにチャレンジし今日に至る。
須崎規泰氏 テーブル上の竹の棒は音響拡散のため。
発電所から家庭まで
発電所(水力、火力、原子力など)で発電された22万ボルトの電気は、様々な変電・配電設備を通り家庭の100Vコンセントにとどけられる。全体のシステムを考えると途中でノイズが乗ることは避けられない。周波数(50Hzか60Hzか)や使用する時間帯でも再生音が変化する。発電所から家庭までをトータルオーディオシステムとして考える必要があるが、とても複雑である。
一方、太陽光パネルで発電しそれを直接オーディオ機器に印加すれば、系はとてもシンプルになり、ノイズの混入も最小化できると考えている。
試聴
当日のデモでは、DAC,アンプ、ICレコーダ(再生用)など全部に太陽光パネルの電気を直接印加した。
音源はすべてWAVファイル。Fs=44.1KHz/16bitを基本に、96KHzにアップサンプリングした9624のハイレゾ版も使用。
楽曲は、ドボルザーク「新世界より」、ホリー・コール「テネシーワルツ」ほか。
音の評価(須崎氏)
太陽光パネルを使うと、明るい、ひずみ感がない、音がのびのびしている、肩の力が抜けるような(リラックスできる)音、と感じる。
セミナ―では室内のためランプの光で太陽光パネルを駆動。
なお、須崎氏宅では庭先に太陽光パネルを設置してあり、晴れた日は太陽光発電で直接オーディオ機器を作動させている。(写真下)
須崎氏宅の太陽光パネルとそれを観察するNHラボの茶谷。