テーマ:「リスニングルームでの吸音拡散」
内容:
1.はじめに~(中島代表)
2.たまごスピーカと吸音拡散体 (茶谷取締役)
3.たまごスピーカの設置方法について
1)吊スタンド NH-ST1Bにつるす (瓜生取締役)
2)大きなスピーカを台として (小泉取締役)
4.たまごスピーカを床置きにして真空管アンプで鳴らす (新忠篤氏*)
日時:2017年2月10日(金) 14:00~16:00
会場:世田谷産業プラザ 3F大会議室
写真 上 左から 中島代表、茶谷郁夫、瓜生勝、小泉博司
下 左 新忠篤氏、右 会場風景
セミナー概要
1. はじめに 中島代表
昨年ろっ骨を一本折るけがをした。その治療の過程でレントゲン写真を見ていると骨の折れたところの周りに徐々に繊維状のものがまとわりつき始め、治癒につれてその部分が成長していった。それを見ながら繊維状の吸音材や骨に当たる拡散棒などに思いを巡らし、音響の世界のことを考えてみた。
一般家庭の標準的な試聴環境でスピーカから出た音が四方の壁、床、天井で反射を繰り返しながら受聴者に届くまでの経路で、吸音や拡散をいかに行うかが部屋の音響特性の改善につながる。
吸音材は単体で使うだけでなく、内部に球状物体を入れることで吸音率が上がる。つまり吸音と拡散を同時に考えると良い。スピーカの内部にも同様の吸音拡散物体を入れることを自分でも実験してみたい。結果が出たらまた報告しようと思う。
2.たまごスピーカと吸音拡散体 茶谷
たまごスピーカが音の放射特性が広くなめらかなことを実験データとともに説明。
中島代表の吸音拡散体のアイディアをもとにした拡散体や吸音拡散体の実例を紹介。
以下は発表資料から抜粋。
3.1)吊スタンドに吊るす 瓜生
NHラボの商品の吊スタンドNH-ST1Bの紹介。開発のきっかけは中島代表提唱の「たまごスピーカの軽さを活かして天井から吊り下げる」方法。これは音の面では確実に向上するが、一般家庭で天井に吊るすことは容易ではない。テーブルや台の上に簡単に置け、かつ吊るす良さを楽しめるものとして吊スタンドを考案した。吊るすとスピーカが揺れやすくなる。これを多少でも抑える目的で、重りをオプション品として付属している。重り付加の効果は会場ので音出しテストでおおむね確認できた。(会場が広く、聴く場所で効果は異なってたいと思うが)
3.2) 大きなスピーカを台として 小泉
新忠篤氏のアムトランスでのセミナー(2016年11月25日)参加でヒントを得て、たまごスピーカをいろいろな場所に於いて測定試聴を行ってみた。場所はCMJ社の試聴室。
たまごスピーカJBLの大型スピーカにおいて鳴らすととても良い音だったが、音圧周波数特性を測定データもJBLと比較してもなかなか良い。
なお、協力いただいたCMJ社はオーディオ機器の修理メンテ販売を行っている。
4.たまごスピーカを床置きにして鳴らす 新忠篤氏
新氏が提唱されているたまごスピーカを床に置き、固い床のバッフル効果を利用して中低域を豊かに鳴らす方法をデモ。
たまごスピーカの指向特性が広いため(下図参照)、スピーカを床に置いても再生音に違和感がなく、床の中低域増強効果と相俟って再生音を堪能できた。今から60年前の曲(SP,LP)が多く針ノイズはかなり大きいが、不思議なことに往年の名歌手の歌声は心にストレートに響いた。
受講者のリクエストでたまごスピーカをテーブルの上に置いてみると中低域が少なくなり、その差はかなり大きかった。
(*)新忠篤氏
1939年生まれ。1963年日本コロンビア入社、新しい発想で多くのレコード企画を行う。1972年日本フォノグラに移籍。日本人アーティスト(小澤征爾氏、内田光子氏ほか)の世界マーケット展開をプロデュース。1996年からフリーランスとしてSPレコードの復刻CD発売(CD190枚組の「モーツアルト全集」(小学館)ほか)。真空管アンプの設計・制作も行う。著書多数。オーディオ雑誌数誌にレギュラー執筆。
たまごスピーカNHシリーズ 音の放射特性測定データ